エンゼルケアは、亡くなった方の外見を清拭やメイクなどで整える重要な処置であり、主に看護師や葬儀関係者が担当します。かつては鼻の穴や耳など、体液が流出しやすい部位に綿などの詰め物をするのが一般的でした。しかし、詰め物をしても流出物が多い場合は完全に止められないうえ、見た目が息苦しそうな印象を与えるのが実情です。そのため、ご遺族の心情や故人の尊厳に配慮し、重篤な感染症や一酸化炭素中毒などの特殊な死因を除いては詰め物をしないケースも出てきています。
また、以前は手首を固定して胸の上で合掌の姿勢を保たせることがありました。ですが、無理な固定は時間の経過とともに変色や変形を招く恐れがあるため、現在では忌避される傾向にあります。口が開かないように紐などで顎を固定する処置も、皮膚に痕が残ったり、変色したりする原因となり避けられるようになりました。その代わりに頭の下に置く枕を少し高く設定し、顎の下に丸めたタオルを優しく挟むことで自然な形で開口を防ぎます。
さらに、感染予防や消臭の目的で消毒液を使用した清拭が行われていた時代もありました。強い消毒液は皮膚の著しい乾燥を引き起こし、生前の自然な姿を損なってしまうことから現在はあまり施されていません。棺に納める際の服装についても多様化が進んでおり、白装束ではなくなってきています。故人が生前に好んで着ていた洋服や大切にしていた晴れ着など、ご遺族の希望に合わせて着せることが多いです。近年では脈管に薬液を注入して腐敗の進行を抑え、衛生的に保存するエンバーミングの導入も盛んとなっています。ご遺体を長時間にわたって、生前の姿に留めることが可能です。